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掲載日:2021年2月17日

執筆担当:金・小嶋・中根

 同志社大学今出川キャンパスのすぐ側に、年齢・性別・国籍問わず多様な方が集まる「バザールカフェ」があります。今回、このカフェを運営する店長の小島さんとスタッフの狭間さんにお話を伺いました。

団体を設立したきっかけを教えてください

【狭間さん】

 カフェ活動の前身は、HIV患者のためのホームパーティーです。HIVが流行し偏見もあった1997年頃、牧師の榎本てる子さんが病気や療養生活等について気軽に話せる場づくりを呼びかけ始まりました。教会関係者や大学教授、大学生、大工、アーティスト等様々な立場の人が共鳴し、集まりました。

 そして、ここで働けるといいねという話になり、建物1階をカフェに改装しました。以降、病気に限らず、それぞれにしんどさを感じている人と社会のなかで共に生きることに思いを巡らす人たちが続けてきました。だから、このカフェは対象者を限定しません。働く人のなかには、引きこもりだった人や依存症・精神疾患を抱える人、外国人もいます。普通にカフェとして利用する人もいます。

現在に至るまでに大変だったことを教えてください

-----コロナ禍での困難についてお話いただけますか?

【狭間さん・小島さん】

 働く人やお客さんを感染から守る体制が必要だと判断し、2020年4月14日からカフェ営業を休止しました。開店以来、初めてです。

 ただ、完全に閉めるのではなく、働く人やお客さんが集まれる場として開放しました。行く場がないと、家で子どもを虐待したり、パチンコでお金を使い込むかもしれません。週5日来るお客さんも多いです。

 感染防止のために人数や交通手段等を制限しましたが、来られない人も出て苦渋の思いでした。

 

-----どう乗り越えましたか?

【狭間さん】

 休業中はコロナや営業再開について、全員でじっくり話し合いました。コロナへの危機感や考え方はその人の経験や気質等で異なります。相手の価値観に慎重に触れつつ、不安な思いを伝え合いました。

 苦しい時期でしたが、工夫の大切さを学びました。不安でピリピリした状況を変えようと、良いことを見つけて言い合う時間を毎日設けました。すると、価値観は違っても再開への思いは一緒だとわかりました。

 感染防止の体制を整えていき、6月25日から営業を再開しました。

周囲や自分自身の変化について教えてください

【小島さん】

 ここに来て、私がアルコール依存症・薬物依存症だとわかって約10年、回復しながら活動を続けています。段々と自信が育ってきました。

 当初は、私が調理補助や皿洗いをする意義を見いだせず、続けるべきか葛藤しました。それでも続けるうちに私が必要とされていて、私にはここが必要だと実感したのです。突然入院しても、入院中のサポートの他、退院後も自然に迎え入れてくれました。


ここなら親身に話を聴いてもらえる、しんどさを吐き出せると思いました。そして3年前、店長になると決心しました。病気があっても、ここで生きている姿を見てもらえたらという思いです。

現在の活動への思いを教えてください

-----人と関わる上で気をつけていることは?

【狭間さん】

 距離感を大事にしたいです。以前何度か、下手に近づきすぎて共倒れした経験があるからです。また、「自分自身に偏見がある」と自覚することです。誰しも偏見がないとは言えません。先入観を取り除き、「1人の人」として関わることを心掛けています。

【小島さん】

 話すことです。話を聴いてほしい人に話をしたり、思いを吐きだすだけでもいいです。それを重ねると、相手との接し方が変わっていきます。ここに来続ければできるようになり、逆に、離れるとできなくなります。しんどさ等を吐きだす場が「バザールカフェらしさ」だと感じています。

 

-----人が集まる場所に欠かせないものは?

【小島さん】

 「場所」だけでは居場所になりません。「人」が必要です。誰でも来ていい場、それぞれの生き方や考え方を否定されずに認められる場。そんな場だと、ありのままの姿でいられ、自然と人が集まると思います。加えて、守られている感じも欠かせません。それぞれが抱えるものを自分でカミングアウトしてもいいと思うまで、あえてきかないことも大事です。

 

-----多様性を受け入れる社会に必要なことは?

【狭間さん】

 自分も多様性の中の1人であり、当事者であると意識することではないでしょうか。私が大学生で実習生として来た時、「話を聞きます!」と意気込んでいましたが、逆に聞いて貰って泣いた経験があります。そこから「役割や立場とは?」を考えるようになりました。話を聴いたり聴いてもらったり、立場は流動的です。自分もサポートされることがある側だという認識は大事です。

【小島さん】

 様々な人とつながることが大事です。人と関わらず知識や頭で考えると、実は違うことがあります。私も数多く経験しました。そして、心の中はそれぞれ違うため、接することがやはり大事です。「聴いてあげている」「支援している」という姿勢ではなく、同じ目線で話せると素敵だなと感じます。

学生ボランティアに対して思うことや期待していることを教えてください

【狭間さん】

 とにかく来てくれたら嬉しいです。どんな理由でもいいです。勉強しに来る人、手を動かしたいからとボランティアしに来る人、ただコーヒーを飲みに来る人。学生さんも大人も一緒です。ここは営利目的ではなく、働く人やボランティアを大切にするカフェで、大々的な宣伝はしません。人が人を呼ぶくらいの規模感がちょうどいい。スタッフとお客さんとボランティアが分け隔てなく関わります。ボランティアだからと特定の人に望むことはありません。ここに来てちょっとでも癒されてくれたら嬉しいです。

-----学生ボランティアへのメッセージなどはありますか?

【狭間さん】

 私たちが学生さんから学ぶことは多いです。2019年11月にオンラインで行ったバザールフィエスタでは、1人の学生さんに機器類のセッティングを全てお願いしました。また、ある時には別の常連の学生さんに「ちょっと手伝って〜」と声をかけると、「頼まれるのを待っていましたよ~」と快諾してくれました。学生さんが来ることで新しい風が入り、空気が循環する気がします。ですので、ただ学生さんが来てくれたら嬉しいです。

学生時代のエピソードを教えてください

【狭間さん】

 卒業を控えたある日、発起人の榎本さんから「ここで働いてみない」と誘われ、既に内定が決まっていましたが、ここで働くことを決めました。先にお話しした実習中の体験等が大きいです。

今後の展望と個人的な目標を教えてください

【小島さん】

 今後の展望は、ここを何十年後も変わらない「居場所」にすることです。年月が経っても、根本的な中身や大切にすることをここに来る人みんなで守っていきたいです。

 個人的な夢は、バザールカフェの他にもう一つ安心できる場所を作ることです。

インタビューを行った学生の感想&メッセージ

【金さん】

 正面玄関の横の小道を通ると庭が出てくる。そこである人はサッカーをしたり、また違う人はゲームをしたり。一人ひとりがありのままで居れる場所がバザールカフェだと感じた。今までであったことのないカフェでは「人」を何よりも大事にしていた。心の居場所を必要としているあなた、ただおいしいコーヒーを飲みたいあなた。理由はなんでも一度行ってみてほしい。

【小嶋さん】

 取材当日も、庭で子供が遊んでいたり年配の方がドリンク片手に会話を楽しまれていたり、それぞれにくつろがれていました。距離感を大切にしながら誰でも受け入れることを考えているというお話が印象に残っています。じんわりと人をほぐしていく場所だと感じました。

【中根さん】

 インタビューで印象に残ったのは、バザールカフェでは、その場にいる従業員やボランティアといった人たちを含めた誰でもいやすい居場所にしていることです。この従業員もいやすい居場所は新しい考え方だと感じ、誰でもいやすいと感じる居場所作りを考えるとき必要になる考えだと思いました。もう一つ印象に残ったのは、「つながりは離れたら切れる。嫌だと思って離れたら楽。」という言葉です。楽なほうにいかずにつながりを保つことは難しいと思います。そのため、居場所にはつながりを保つ工夫をしていくことが必要だと感じました。

今回インタビューを行った団体

団体名:バザールカフェ

所在地:〒602-0032 京都府京都市上京区岡松町258

HP:http://www.bazaarcafe.org/

SNS:https://www.facebook.com/kyotobazaarcafe/

 

[団体の理念・活動概要]

病気や障害を抱えていることや、マイノリティであることによって、自分自身を肯定できない苦しさの中で生きている人たちに出会ってきました。誰もがありのままの姿で受け入れられ、それぞれの価値観が尊重され、社会の中で共に生きる存在であることが相互に確認される場が必要です。様々な背景が個々人のひとつの特徴として当たり前に受け入れられるような社会を目指して、その小さなきっかけ作りをしています。