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掲載日:2022年4月2日

記事タイトル「コーヒー豆カスの回収からはじまるエコ活動」

執筆:岡・坂口・西村

子ども食堂とは

 現在の日本では、経済的理由等により、子どもに十分な食事を与えることができない、子どもと一緒にご飯を食べる機会が少ない、といった問題を抱えている家庭があります。

 子ども食堂は、そのような家庭の子どもたちに対して無料または低価格で食事を提供する場所です。また、食事の提供を通して楽しい共食(誰かとともに食事をする)の場を提供する、食育の推進や地域の交流を図る役割も果たしています。

 今回は、京都市南区で子ども食堂「ししまる食堂」を運営されている、NPO法人ふれあい吉祥院ネットワークさんにお話を伺いました。

子ども食堂「ししまる食堂」の紹介

 ししまる食堂とは、低価格で誰もが安心して来てもらえることを目的とした子ども食堂です。ししまる食堂では、週2日、学習支援と夕食の提供を、メインの活動とされています。子どもたちは登録制で参加でき、食堂が始まる17時から18時30分を学習時間、18時以降を食事時間と皆が遊べる時間としています。

 コロナ禍の活動は、子どもたちとししまる食堂の繋がりを意識して、ししまる食堂に通う子どもたちやその保護者にお弁当の配布を行っています。そこにはスタッフさんからのお手紙が添えられていることもあり、とても温かみのある活動となっています。4月から本格的に子ども食堂の活動が再開されるため、ボランティアとして参加されたい方は是非ご参加下さい!

ししまる食堂の理念

 ししまる食堂では、子どもたちが自分で考えて判断できるようにすることを大切にされています。また、ししまる食堂を使用する子どもたちのルールは「自分が正しいと思ったことをする」というものだけです。これらは子どもたちが周りを見て自分で考え、判断し、行動することを通してこのような力を身につけていきます。

 しかし、子どもたちも最初からこのようなことができるわけではありません。そのため、ししまる食堂のスタッフさん達は、子どもたちが自分たちで動くように指導をしています。それにより、今後の社会で大切な力を身に付けてもらおうとしていると考えられます。

子ども食堂を継続するにあたっての課題

 ししまる食堂は京都市の南区にある吉祥院いきいき市民活動センターで活動を行っており、子ども食堂を始めて7年が経ちます。今後の目標はより長く子ども食堂を続けていくことだそうです。

 活動を続けていく中で難しいことは、他の子ども食堂との連携です。一般的な子ども食堂は食事の値段を安く抑えるために運営費や材料費を抑えなければなりません。また、誰でも始められるため、曖昧な位置づけにあるため、周辺地域との関係性を築くことが難しかったり、運営人員が足りなかったりなどから、運営体制が難しいという課題があります。その結果、継続的な運営が非常に厳しい状態にある子ども食堂もあります。

 そのため、不定期ではありますが、ししまる食堂では、他の子ども食堂を運営するスタッフさん同士での交流会を開催し、食材を分け合うことや、意見交換などを行っていますが、まだ連携が十分とは言えません。また、子ども同士での交流もあまり行われておらず、子どもの個人情報の保護についても配慮がいります。

 このことから、各地域の子ども食堂のネットワークを通じて多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるようにという目的のもと、子ども食堂との連携を図る全国的な取り組みである「むすびえ」が始まっているそうです。

ししまる食堂を始めて

 子ども食堂を設立するまでの道のりは、地域の方々の信頼の獲得や開始するとすぐに活動を中止することのできないプレッシャーなどで大変だったそうです。始まってからは、先生として関わる立場としての責任を感じますが、学年を重ねるにつれて成長する子どもたちの姿が伝わり、やりがいや喜びを感じると仰っていました。

 週2日の中で長い時間をかけ、子どもたちの間近で接することによって見守ってきました。こうした苦労と喜びを分かち合った場所である食堂は、地域住民の方々にとっても居場所のひとつとして、かけがえのない存在になってほしいと願っています。

 これからも、ししまる食堂が何十年と続くことで、いつか吉祥院学区に子ども食堂が文化として根付くことを願って奮闘する日々を送っていきたいと話されていました。

ししまる食堂の食事

 ししまる食堂で子どもたちに提供している献立は、子どもたちからのリクエストを基に考えることが多いですが、子どもたちには好き嫌いがあり大変なこともあるようです。例えば、子どもたちは酢の物やなすの煮びたしが好きだったり、反対にプリンやヨーグルト、バニラアイスが嫌いだったりと、好き嫌いは私たちが考えるイメージと異なることもあります。

 そのため、ししまる食堂では「みんなでお好み焼きや餃子を作る」といった子どもたちが自ら調理に携わるイベントも行っています。このイベントを通して、子どもたちは嫌いな食べ物でも食べられたり、普段よりも食べる量が増えたりといった効果が実感できるそうです。このお話から、同じ料理でも誰と一緒に食べるのか、どこで食べるのか、といった「食べる環境」が子どもたちにとって重要であると考えます。

 ししまる食堂のスタッフさん達は、前述した子どもたちの食べる様子の変化から、学習支援以上に子どもたちの心身の成長を発見されています。

感想

 今回ししまる食堂のスタッフの方々のお話をお聴きして、ししまる食堂では子どもたちの居場所づくりを重視して活動を行っている点が大変印象的でした。これまで子ども食堂は貧困家庭の子どもたちに食事を提供するための場所というイメージが強かったですが、それだけではなく、学習支援や食事を通して子どもの人間性を高め、成長を支援する役割も担っていることが分かりました。また、逆に子どもたちから多くのことを学ぶことができる場所でもあると感じました。ししまる食堂は来てくれている子どもたちにとってかけがえのない場所であると実感できたので、スタッフの方々が望んでおられたように今後も地域の伝統として吉祥院学区に受け継がれていくとよいなぁと思いました。

参加プログラム

活動先団体名

京都市吉祥院いきいき市民活動センター

団体の理念・活動概要

 吉祥院いきいき市民活動センターは、多くの市民にご利用いただくと共に、地域におけるこれまでの自主的な取り組みとの協働による事業の成果を踏まえ、吉祥院六斎歴史資料展示室の有効活用を図りつつ、様々な市民活動や地域歴史文化を学ぶ拠点となっています。

団体連絡先

住 所:〒601-8335 京都市南区吉祥院砂ノ町47

電 話:075-691-7561

メール:npofkn@ray.ocn.ne.jp

SNS:http://fureai-kisshoin.net/ikisen/