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掲載日:2022年3月31日

記事タイトル「コーヒー豆カスの回収からはじまるエコ活動」

執筆:植田

 桂川の自然環境保全や河川美化活動などにも取り組む「桂川流域クリーンネットワーク」さん。

 今回は桂川流域クリーンネットワーク代表の大石さん、河川レンジャーの南良さん、桂川流域クリーンネットワーク会員の仁枝さんにお話しを伺いました。

※河川レンジャーとは、住民と行政が一緒になって川の管理や整備を行うため、住民と行政との間に立って、行政が責任を持たなければならないこと以外で、危険を伴わない河川管理上の役割を担う人や団体(団体に属する個人を特定)です。

〈団体設立について〉

団体設立の経緯

 2007年に、桂川が大氾濫しました。「川の氾濫によって溜まってしまったごみや木を、桂川全体で一度掃除しよう」と河川レンジャーである田子さんと仁枝さんが呼びかけ、京都市内の桂川をきれいにするために、第1回桂川クリーン大作戦(以下、クリーン大作戦)を立ち上げられました。

 桂川は都市河川でありながら、野鳥や草花などが生息・生育するなど素晴らしい自然環境があります。しかし、ごみによってそれらが絶滅する恐れがあります。田子さんは、生態系を保全するために桂川をきれいにしようと取り組まれたそうです。活動を重ねていくうちに、桂川だけでなく、桂川に入る流入河川もきれいにしようと考え、「桂川流域クリーンネットワーク」をつくられました。

〈活動について〉

啓発活動・イベント

 クリーン大作戦では、パンフレットを作成し、流域全体の美化活動の宣伝をされています。パンフレットを配布することで、「河川の美化活動をみんなでやりましょう」という声かけを市民に広めてきたそうです。また、清掃活動をするスタッフや参加者のみなさんの姿を見た人が「ごみを捨ててはいけないな」と思っていただくことも啓発活動の一つとされています。

 また、桂川は、桂川・宇治川・木津川の三川合流地点で終わってしまいます。クリーン大作戦の成果を踏まえ、宇治川、木津川、淀川の各活動団体が連携して「淀川水系一斉美化アクション」(淀川河川事務所、支援)を展開されました。現在は、京都府内から大阪湾の河口まで活動の輪を広げられています。

 ごみは上流から下流に流れてきます。「同時期に川の上流を一斉に美化アクションが出来たらいいな」ということで、現在、滋賀に住む住民の方とも一緒に活動に取り組まれています。

※画像出典:「目指せ!マナーアップ!淀川水系一斉美化アクション」https://www.river-ranger.jp/beautification/ (最終閲覧日2022年3月15日)

コロナ禍での活動の思い

【大石さん】

 3年連続、活動直前で中止となりました。パンフレットも作成済みの段階であったため、非常に残念でした。

コロナ禍での活動はウェブサイトで呼びかけ、各エリアで清掃を行いました。いつでもどこでも気軽に参加することができるごみ拾いアプリ「ピリカ」を通して、活動状態を知らせています。

 

【南良さん】

 2020年から2022年のクリーン大作戦は、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、全て中止となっています。2020年は、「さぁ、やるぞ!」と、直前まで準備していた中で、新型コロナウイルスが発生し、中止になりました。2021年・2022年は、コロナ禍の感染対策に努め、活動の1エリアを100人未満に縮小する計画や、エリアごとの検温器の確保、事前の健康診断の実施検討などを行っていましたが、中止となり、残念な思いです。

 これからは、若者も含め、みんなでコロナ対応のボランティアを考えていただきたいです。

活動でのやりがい

活動写真

【大石さん】 

 最初は500人ぐらいで活動をしてどんどん広がり、皆さんのご理解をいただいて一時期は3500人まで増え、250団体の方が参加しました。また、他府県から来られる方や、これまで活動に関心がなかった方も参加しています。

 クリーン大作戦が終わったときに、参加者の方から「きれいになりましたね」や「来年も参加します」などとお声をいただき、活動の広がりを感じられて非常に嬉しいです。

活動を継続していく中で、感じていること

【大石さん】

 川の周辺住民の方と活動を始め、進めていくにつれて、活動に共感する人が増え、桂川から離れたところから参加する方が増えました。川のごみのほとんどは人が捨てたごみであり、人の意識が変われば川はきれいになります。

 クリーン大作戦を進めることは、もちろんごみを拾うだけではなく、ごみを捨てさせないという意識を皆さんに持っていただくことでもあります。現在は、若い人の参加が少ないことが一番の悩みです。多くの学生の皆さんに興味を持っていただいて、クリーン大作戦に参加していただきたいです。

 

【仁枝さん】

 現在は、人を呼び込み、地域の方々の協力を得てクリーン大作戦を実施していますが、今後はオンラインで個人がいつでもごみについて共有することができるシステムができてほしいと思います。今は「ピリカ」を使用していますが、新たな取り組みにチャレンジしたいです。

参加者と関わるうえで心がけていること

【大石さん】

 参加者と交流することです。活動に参加する中で、参加者同士の交流も非常に重要ですし、参加者との交流を通して様々なご意見をいただきます。自然豊かな桂川で動物たちが快適そうにする様子を見ながら、交流を楽しんでもらえたらなと思っています。

 

【仁枝さん】

 自分たちが清掃した川の歴史を勉強してもらうことも大切にされています。クリーン大作戦の清掃活動だけで終わらず、活動を通して、参加者の方々に、川の歴史や川に住んでいる生物などをお伝えしています。

印象的なエピソードや出来事

【南良さん】

 2017年のクリーン大作戦に合わせて、記念フォーラム「桂川の清掃活動と生物多様性保全」が開かれました。桂川流域クリーンネットワークは10周年を迎え、活動も盛り上がってきており、「すごい団体やぁ~」と思い、僕も団体に入ってお手伝いを始めました。

 2018年に220団体3600人が参加し、当時のこの団体の目標としていた活動参加者人数5000人も「夢じゃないなぁ」という期待感もあり、さらに1000人以上を増やすにはどうすればいいのか自分なりに考えていました。しかし、その矢先にコロナで中止となりました。コロナウイルスが流行していなければもうちょっと盛り上がっていたと感じます。

 

【大石さん】

 私は、少年野球の役員をしています。桂川にあるグランドで練習や試合をしており、子供たちにもクリーン大作戦に参加してもらっています。子どもが川で遊ぶことや魚釣りをすることがほとんどないので、河川レンジャーを中心に子どもたちを対象として3年前に嵐山で魚釣りをしました。また、去年と一昨年には、河原でバッタを捕まえて飛ばしあいをする「バッタオリンピック」を開催しました。これらの活動を通して、子どもたちに桂川の自然に触れてもらい、桂川の魅力を体感してもらっています。

〈今後の活動への思い・活動に参加してくれる方へのメッセージ〉

今後の活動への思い・大学生や若者のみなさんに向けたメッセージ

【南良さん】

 活動を続けることが大事です。しかし、どうやって若い人たちにバトンを渡していくのかなど、課題があります。若い人が参加してくれたら嬉しいですし、若い人たちに環境保全や景観を受け継いでいけたらなと思います。

 

【仁枝さん】

 最近では、見慣れない渡り鳥が嵐山に来ています。人だけでなく、生き物も桂川に来てくれることはありがたいなと思います。皆さんが自然を大事にしたいという気持ちを持つことが重要です。河川レンジャーは、自然の豊かさを知っていただく、そしてごみは捨てない、捨てさせないことを活動の原点としています。地球温暖化が進行しているなかで「自然はいいな、豊かだな」とより多くの人に思ってもらえるようにこれからも継続して行いたいです。

 

【大石さん】

 若者に関心を持っていただくことが一番です。学校のボランティアサークルなどを通して私たちの活動に参加してもらい、活動が広まっていければ嬉しいです。

 

 

インタビューを通して学んだこと・感じたこと

 インタビューを通して、クリーン大作戦を継続することや皆が自然を大切にする気持ちを持つことの重要性を学びました。コロナ禍でも取り組めることは積極的にされており、活動に対する思いが強く伝わってきました。また、桂川が自然豊かであり、その魅力を知ってもらえるよう工夫がなされていることも分かりました。新型コロナ感染症が収束すれば、活動に参加したいです。

参加プログラム

活動先団体名

桂川流域クリーンネットワーク

団体の理念・活動概要

1.清掃による河川美化

2.活動を通じて美化意識を高め、マナーの向上を図る。

3.ごみのポイ捨てを無くし、「ゴミ持ち帰り運動」を展開。

4.プラスチックごみは生き物の生態系を脅かす問題です。ペットボトルやレジ袋などを川に捨てない活動を展開。

5.減少している日本の在来種(植物、昆虫、淡水魚など)の保全。外来生物の駆除を実施します。

団体連絡先

住 所:〒616-8167 京都府京都市右京区太秦多藪町48-35

電 話:075-881-7549

メール:oishi8989@kyoto.zaq.ne.jp